提供する側になること【ディレクターズコラム】

レーベルのWebサイトがオープンした。
これまでただネットとライブハウスで販売するCD屋だった我々が、やっとこさ”発信する”立場になってきたということかもしれない。

思えば、音楽にハマってから随分長いこと経つ。

中学生の頃にギターを買って、音楽を演奏する側になった。
高校生の頃、初めてライブを企画した。エンジニアさんと仲良くなって録音するようにもなった。

んで30代を目前にして、今度は音楽を売る側になった。
それも自分のバンドだけじゃなく、他人の音楽を人様に紹介する立場だ。

どんなキッカケで音楽にハマった?

音楽には本当に色んなキッカケを通して出会い、聴いて好きになってを何度も何度も繰り返して、ドンドンハマっていたように思う。

ボクの一番最初のキッカケは、アニメで観ていた鋼の錬金術師のオープニングだったリライトを聴いた時。ちょうどその頃、コンポとポータブルMDプレイヤーを買ってもらったばかりだった。

よし、これをとりあえずTSUTAYAで借りてくればいいんだ!と意気揚々とレンタルのカードを作って借りてきた。
リライトとカップリングの夕暮れの紅のたった2曲を繰り返し繰り返し聴いたけど、全然飽きなかった。

「何回聴いても飽きない」っていうのは、いまだに音楽が生活の大きなパートを担っているキーファクターな気がする。

そこから、スポンジが水を吸収するように、様々な音楽を知って聴き漁った。
本当に様々な方法で音楽の情報に触れ、バカみたいに影響されまくったような気がする。

どうやって音楽の情報に触れた?

とにかく音楽を知るのが楽しくて、新しい曲を聴くのが楽しくて、アンテナは常にバリ3。ビンビンに立っていた。本当に様々な場面で音楽の情報に触れた。

例えば友達との会話。
「こんないいバンドいるよ!」「最近こんなのハマってる」といったたわいもない会話だ。初めの頃はこれが一番信頼できた。
みんなの先生みたいな友達がいて、そいつより音楽詳しくなってやろうと躍起にもなっていた。

例えばレンタルショップやCD屋。
アーティストをあ行〜わ行、A〜Zを眺めて名前をドンドン覚えた。洋楽の棚にも手を出した時の背伸びした感じや謎の優越感は今も懐かしい。

例えば雑誌や漫画。
GIGSやロッキンオンなんかは、もはや思春期のバイブルだった。これに勝るのは、SAMURAI ELOくらいだ。
中学の時に転校してきた奴がBECKを読んでたのは衝撃だった。ガイドブックを買って、紹介されているバンドを片っ端から聴いた。

例えばテレビ。
MステやCDTVに飽きてきた頃、父親がスカパーに入ってスペシャやMTVが見れるようになった時は宝の山でも探し当てたようなワクワク感があった。
BS2で放送してたバンプのPEGASUS YOU TOURはVHSに録画して、文字通りスレ切れるほど見た。

例えばライブハウス。
今では辟易としてすらいるが、自分のお目当てのバンド以外の時間も強制的にその場にいて曲を聴かないといけないという状況が、色々な音楽を聴くキッカケになった。
多分ポストロックもエモもハードコアも初めて聴いたのは多分ライブハウスで、その記憶とか感触がCDで聴いた時に気に入る為の要因を作っていた気がする。

そして、インターネット。
ミクシィやブログなんかが盛んだった。Wikipediaなんか、ボクの第二のバイブルとなってディグりにディグりまくった。
調べたものをiTunesで視聴して、BOOKOFFやらディスクユニオンに通って買いまくった。YouTubeが盛んになったのは多分高校も終わりに差し掛かる頃だったように思う。

こんな感じで、めちゃくちゃ色んなキッカケで音楽に出会って、その体験1つ1つが前のめりに語ってしまう程、素敵な体験だということだ。

出会いを提供する側に立っている

「あの頃は良かった。今の若い人は音楽の消費がインスタント過ぎる。」なんて老害じみたことを言うつもりは更々ない。

確かに今の若い人の音楽体験と、ボクのこの甘酸っぱい補正がかかった思い出は感触が幾分違うだろう。利便性やアクセシビリティなんて雲泥の差だろう。

ただ、「音楽をもっと知りたい」「この音楽と出会えて良かった」「音楽を聴くのは楽しい」と言った感覚は絶対になくならないし、むしろ機会が増えているのかもしれない。

そして、ボクらはその出会いを積極的に提供する活動を始めた。レーベルを始めるってそう言うことだ。

ボクらがバンドの情報を発信するのは、CDを販売するのは、誰かにとってそんな素敵な体験になればいいと言う願いが根底にある。じゃなきゃ、今更こんな利益率の悪そうなことやろうとは思わないだろう笑

その為にこのWebサイトは積極的に活用していこうと思う。
このサイトを通して、divergent recordを通して、素敵なアーティストに出会って、それをWeb Shopで買って、さらにライブにも行くようになって、思い出にまでなってくれれば、こんな嬉しいことはない。